October 30, 2011

10月の本棚2011

 すっかり寒くなり、秋の夜長も一段とすすみましたね。午後5時にはもう真っ暗〜ネオンが煌めきます。
 10月7日深夜に老母が脳幹出血で昏睡状態になってから、毎日ハラハラ落ち着かない日々を送っておりました。ブログ更新もすっかりご無沙汰となり申し訳ございません。
 お陰様で、老母の状態は奇跡的に安定し、昏睡は続くものの、今後は療養型の病院にて長期の療養に入ることとなりました。まずは、ちょっと一息つきました。
 なので、やっと読書案内をご紹介します。
 1)スペンド・シフト 希望をもたらす消費
   ジョン・ガーズマ他著 プレジデント社刊 税別1800円
 「自分を賢くするためにお金を使う」「地域を潤すようにお金を使う」「信頼できる企業から買う」などのテーマで全米各地でのトレンドを実例で紹介しています。震災以降、私どもも消費へのスタンスに大きな変化が出現しています。先取りするかのように、リーマンショック以降のアメリカの消費傾向の変化が紹介されています。TPP参加をめぐり、今日本の農業も工業も岐路に立っていますが、消費者だってシフト変更を考えているのかもしれませんね。

 2)文士の舌 嵐山光三郎著 新潮社刊 税別1500円
 文豪が愛した飲食店を巡り、興味深いエピソードや、作品中にどう表現されているか、現存しているお店情報など満載。文学散歩のひとつの形ですね。都内のお店がほとんどですが、追体験して味わう楽しいエッセイです。森鴎外や夏目漱石、三島由紀夫、川端康成、水上勉、林芙美子、向田邦子…おなじみの作家の味へのこだわりが面白いです。

 3)家族の昭和 関川夏央著  新潮文庫刊 税別476円
 「戦前の夜」…向田邦子、吉田源三郎の作品を通して。「女性シングルの昭和戦後」…幸田文の作品を通して。「退屈と回想」…蒲田敏夫「金曜日の妻たちへ」を通して。3パートに分けて、家族の昭和時代における変容が語られます。自分の昭和を照らし合わせながら読んでいます。

 4)屋上がえり  石田千 著 ちくま文庫刊 税別780円
 いぜん、この著者の「月と菓子パン」という不思議な味わいのエッセイ風小説を読みなんだか好きになりました。わたくしの愛好する嵐山氏の起こした会社で長く修行?したかたです。感性のかたまりみたいな清々しい文だなぁとわたくしは思っています。

 以上、読書の秋に参考になりますかどうかは疑問ですが、わたくしの本棚から4冊ご紹介です。
 昨日夕方、今季初めてカーボンヒーターの電源をいれました。ちょっと足元が冷えてきましたので。省エネ暖房をどうするか、懸案中です。
 みなさま、一層のご自愛を!

October 12, 2011

怒涛の10月

 わたくしの誕生月10月、朝晩はめっきり寒くなりますが、秋晴れの清々しい日々。たのしく満喫したいところですが…。
 10月7日深夜に高齢者賃貸住宅に入居し、ケアをうけておりますわたくしの母が脳幹出血による昏睡状態となり、市内の病院に救急搬送され、ただ今もそのままです。
 最近レビー小体型認知症と診断され、お薬を服用し、少々はっきりしてきて、ほっと一安心だったのですが。
 7日夕食は美味しく食べ、熊本在住の3女の名前をしきりに呼び、それでも落ち着いて10時ごろ就寝したらしいのですが、11時の定時見守りで、昏睡状態がはっきりし、救急搬送されました。
 わたくしが11時30分ごろ病院着のときは、一見すやすやと休んでいるかのよう。でもCT画像でははっきりと脳幹出血が見られ、重篤な症状です。たまたま、3連休に仙台にくる予定のあった長男一家をはじめわたくしの子供たちと孫たち、横浜の妹、山形の妹など見舞いましたが、何せ昏睡は深く、目覚める様子もありません。
 わたくし、10月7日は1日中、うちのボスの原稿整理に追われておりました。その原稿とは、彼がNHKで制作した「中国残留日本人孤児」の子供探しの中国訪問時の内容です。こんど数か国語に訳されるとかで、その整理なのです。わたくしの姉も残留孤児のため、この番組の中国訪問に母は参加しておりました。31年前の1980年のことです。31年ぶりにその内容を子細に検討しながら原稿整理の手伝いをし、あらためて先の大戦時の悲劇の数々を思いつつ一仕事終えたところで、当事者のひとりである母が倒れたのはなんだか因縁めいてさえ思えます。
 母は、31年前の番組で取り上げていただいた何人かの生存する関係者の最後の一人らしいです。
 番組をきっかけに政府もはじめて残留孤児の親探しにのりだし、わたくしの姉もお陰様でその後判明し、帰国を果たしました。いまでは、すっかり東京人として日本に定住しております。
 よく小説や物語の結末が大団円という状態で締めくくられますが、なんだか母の人生の大団円が近づいているような気がします。
 さきほども病室に見舞ってきたところですが、本人はいたって安心しきってすやすやと眠り続けております。
 ひとが誰も一度は死を迎えるのなら、わたくし自身もいつの日かこんな風に、人生の幕引きができるといいかな…などチラッと思ったりします。
 昨日は、あの震災から7か月目。復興をめざし、わたくしたちもまだまだやらなければならないことがたくさんありますものね。弱気になっている暇なんてありません。
 10月のお仕事が立て込み、ウィークディのほとんどが稼働日。
明日はまた、6時40分初の新幹線で秋田です。お母さん、もう少し待ってて、昏睡でもなんとか頑張っていて!と祈るばかりです。