June 23, 2011

6月の読書案内2011

 やっと梅雨入り。昨日はいきなりの猛暑。今朝と先ほどは青葉区で震度3。明日は1日雨だとか…。気象の変化がめまぐるしいこの頃です。すっかり更新が遅くなりました。あちこち出張しているうち、今月もあと1週間ですね。そして2011年の折り返し。あまりに大きな災害に、月日がただただ過ぎてゆくような焦燥感にとらわれがちです。
 だから、今月は専門書(ただし入門編)を2冊、エッセイ、風変わりな小説1冊のメニューです。

1)政策研究のメソドロジー 戦略と実践
 北川正恭+縣公一郎+総合研究開発機構編 法律文化社刊 3300円(税別)
 第4章の政策評価の現状と課題、第5章戦略マネジメント論ー都市・自治体を対象としてー、第12章自立型市民参加のまちづくり(特に、”足による投票と手による投票”が現実的かもしれません。手による投票が「選挙」を通じた間接民主政治の骨格だとしたら、足による投票は、市民に自治体を選ぶ(居住地を変える)自由があたえられることによる地方分権の経済的含意を説明する概念としています。もっとも、この震災によってかなり解釈は変化せざるを得ないでしょうが…

2)よくわかる行政学  村上弘・佐藤満編著  ミネルヴァ書房刊 2800円(税別)
 こちらは、かなりの入門編ですが、復興のまちづくりなどで、行政との協働が必要となった地域住民の方々などにもおすすめです。行政の歴史と行政学、日本の行政の展開など基本を押さえてから交渉したり参画するときっと効果的です。

3)きのふの東京、けふの東京  川本三郎著 平凡社刊 1600円(税別)
 取り上げられている参宮橋、六本木一丁目、抜弁天、堀切菖蒲園、神保町、阿佐ヶ谷…わたくしには馴染みのある場所です。特に抜弁天は、中学1,2年を過ごした余丁町にあり、当時は通学途中に日々通り抜けていた場所。買わずにいられない本です。

4)萩を揺らす雨 紅雲町珈琲屋こよみ  吉永南央著  文春文庫刊  552円(税別)
 風変わりな小説といったのは、主人公が75歳の老婦人だからってこともあります。連作短編ですが、なかなか痛快。作者は40代後半の女性ですが、設定からして風変わり。でもよんでゆくとなんだかひきこまれました。小粋なおばあちゃん大活躍!

 やっと、骨折から2か月すぎて、文庫本以外も手にすることができるくらい右手も快復。ちょっとだけある方向へ捻じる動作がまだ苦手ですが。ところで、たくさんの読み散らした本が狭いベッドルームにあふれてしまい、ブックオ○にでも少し整理しようか、と考えています。
 雨、高い気温、余震、どれにもくれぐれもお気をつけて。


June 10, 2011

今できることは…

 先週来、隣県の自治体職員(8年〜10年目)の政策形成(基礎)研修を担当しています。被災状況の深刻さから、研修中止が多かったのですが、」6月に入り再開傾向です。
 個人的には自治体職員にとって政策形成に関する学習・復習は、今回のような大災害を受けての急務ではないか…と思っています。
 ニーズ把握、ニーズ分析、行政介入根拠、顧客分析、優先課題選出、原因特定、対策案案出、対策案の効率性・効果(直接・間接)比較、リスク分析、パイロットプログラム実施、意思決定、実行計画、実行管理、事業評価…。
 今回わたくしが担当いたしました研修は、朝9時から夕方5時の7時間コース。午後の時間を割いて、さまざまな自治体から参加の職員の方々をグループ分けし、「防災と観光のまちづくり」をテーマに構想を練っていただきました。津波被害が甚大だった自治体職員と今回は幸いほぼ被害ゼロの自治体職員がともに、同じテーマで、アイディアを案出しプレゼンしあうスタイルです。
 そのうちの3つをご紹介します。
1)防災メガフロートプラン
 今回津波被害が大きかった地域に近接する海上に、メガフロートを。観光拠点施設と、被災地域住民の居住施設をそのうえに建設。被災地域は海浜公園に。
2)津波からの復興体感パーク
 キッザニア(子供むけのお仕事なりきり体験テーマパーク)の大人版。自衛隊の仕事、自治体職員の仕事、ボランティアの仕事、避難所の炊き出しなどリアルな復興支援の仕事をしっかりした指導のもとで体験する観光拠点の運営、地質学や防災学関連大学や研究機関の誘致。観光施設での雇用や研究機関への雇用などを見込む。
3)災害時パートナー協定
 自治体間で協定を取り交わしていることが多く、今回も有効に機能したので、これを個人バージョンに応用。山林や丘陵地区、内陸在住者と沿岸部居住者間でパートナー協定を結ぶ仲介をする。コミュニティ単位もあり。互いに困ったときは相身互いのルールづくり。通常時は、海、山、川の滞在型観光とモノづくり体験を離れた地域で連携し変化に富む観光を提供。

 奇想天外すぎますか?それともヒントになりますか?多額の資金とさまざまな制約が山積していますが、なんか、ぽっと心があったかくなるような復興のアイディアとは思いませんか?

 今できることと、今夢みることにはもちろん大きな隔たりがありますが、でも、ピンチをチャンスに夢をかたちにうごきだしませんか?