March 17, 2010

弥生の東京散歩

 先週のことですが、久しぶりに隙間時間を利用して、東京・高田馬場から西武新宿線の新井薬師前で下車し、散歩がてら新井薬師へお参りしました。大分暖かくなり、午後のひととき、街歩きです。ただし、すんなりと目指す薬師様は見つからず(かなりな方向音痴!ですから…)後から考えると、まったく逆方向へ大分歩いてしまいました。
 そのうち、垣根のまわった木立の深いちょっとした屋敷風の一角があり、あれかも!と歩み寄りましたがどうも違う様子。探し疲れて、通りがかった賢そうな女子中学生に、道を尋ねました。しっかり教えてくれたばかりか、さっきのお屋敷風の一角が、「たきび火だ、たき火だ、落ち葉焚き、…あたろうか、あたろうよ、北風ピープー吹いている」の歌の作詞者巽セイカ氏が住んだ家です、と教えてくれました。そういえば、「垣根の垣根の曲がり角…」という歌詞が本当にそのままの情景。女子中学生が教えてくれなかったら、うっかり見過ごしてしまったところでした。通学路のこととはいえ、しっかり紹介してくれた少女に感激でした。
 こういう、出会いがあるからお散歩は楽しい!しっかり新井薬師にお参りし、帰りに2駅くらい歩いて、大江戸線に乗りましょう!など方向音痴のくせに大それたプランで歩きだしましたが、案の定、迷いに迷ってしまいました。でも、日ごろ歩かない場所をあちこちお散歩し、なんだか豊かな気持ち。迷ったのも面白いね、と
負け惜しみではなく感じ入りました。
 ちなみに新井薬師は眼病によい、との言い伝えがあるそうで、絵馬にはひらがなの「め」の字が向かい合わせにかかれて沢山奉納されていました。はじめてみたものですから、驚きましたが、ストレートだけど案外洒落た絵柄の絵馬でした。あやかって、しっかり目の健康をお祈りしてきました。
 歩いてみると、本当にさまざまな出会いがありますね。これからの季節、お散歩にぴったりです。みなさまもいかがでしょう?
 

March 10, 2010

3月の読書案内

 外は真っ白、銀世界。まだまだ降り続いていますね。本日は若干風邪気味なので、ぬくぬく内勤日を過ごす予定です。
今月の読書案内は、次の4冊です。
1)恋の蛍 〜山崎富栄と太宰治 松本侑子著 光文社刊税別1800円
 山崎富栄さんへの誹謗や誤解はどのようにして定着していったのか…を知るとジャーナリズムや作家の発言について今更ながら戦慄します。幸福な少女だった富栄さんとその家族、特に日本初の美容学校を興した父親の一代記が隠されたメインテーマかもしれません。

2)ナニカアル 桐野夏生著  新潮社刊 税別1700円
 こちらは、林芙美子の昭和17年南方取材渡航(実は戦時徴用とほとんど一緒ともいわれる)をめぐる物語。近くの書店でどっさり並んでいましたが、、はじめはなんか不気味なタイトルと装丁に恐れをなしていました。新聞書評を見て大急ぎ本屋さんへゆき入手し、一気に読みました。

3)海に沿って歩く 森まゆみ著 朝日新聞出版刊 税別1700円
 海沿い…この感覚は心惹かれます。何故かわたくしの仕事も沿岸の都市からの依頼が多いのですが、列車の行く手に海が見えると嬉しくなります。森まゆみ氏の著作をちょっと追いかけてもいます。あと、紀行文が好き…ということにも最近気が付きました。1週間に1ないし2回は新幹線でどこかに出かける生活が長いからかも知れません。この著書は、「島にわたる」「半島をめぐる」「町並みできく」「物語をあるく」の4章立てです。宮城では牡鹿半島女川のはなしがのっています。

4)基礎からわかる自治体の財政分析 出井信夫著 学陽書房刊税別2000円
 財政診断の基準となる11の指標の見方や使い方がデータとともに分かりやすく出ています。また、行政計画の策定支援システムなどのついても実践的に学ぶことが出来ます。

 明日は、また移動なのになんだかクシャミ鼻水、風邪の初期的症状がでてきました。なんとか元気を取り戻さなくちゃ!
 みなさまも、寒暖の差が激しいですから、どうぞお気をつけて。

 

March 02, 2010

「共感」再考

 50年ぶりのチリ地震津波被害、沿岸地方や湾内の養殖漁業などに出ている模様ですね、心配です。映像などを見ていると本当に「浴槽に水がたまる」ようにあっというまに海水が押し寄せるのですね…その上、あたりまえだけど、海に囲まれた島国だったんだ。マンションの19階から遠く水平線を眺めているととっても美しいですが、自然の巨大な力を畏怖とともに再認識しました。後片付けに追われる関係者のみなさま、お疲れ様です。
 バンクーバーオリンピックも閉幕し、3月はいよいよプロスポーツ開幕や春の高校野球が待ち遠しいですが、仙台は昨夜から一面の雪化粧。明日は、お雛祭ですが桃の花やフリージアが香るのはお部屋の中だけです。
 さて、本日は、「共感」の考え方についてです。
16年来、CS=顧客満足を考えていますが、元々は「ヤン・カールソン氏」の顧客満足が出発点。その時点では、テキストどおりに、「納得」と「期待以上」という満足概念を基本にしておりました。でもより公益的な課題や行政サービスにも応用しようとわたくしなりに再構築したとき、満足概念には「共感」と尊重欲求が必要ではないか、と仮説をたて、接遇などを皮切りに行政評価などへも応用し実践中です。
 この中心概念としての「共感」につき、日経新聞の「やさしい経済学」欄では東大准教授の宇野重規氏が、平成22年2月26日付けで、分かりやすくお示しくださっています。(以下、記事より抜粋)
 アダム・スミス「共感」の狙い
アダム・スミスの「道徳感情論」における最重要概念が「共感」である。人は、想像力によって、他者の喜び、悲しみ、怒りを追体験しようとする。自分がその立場だったら、どう感じるか…人がこの追体験の結果を現実の他社の行動と比較する。合致すれば人はそれを是認し、合致しなければそれを否認する。こうした追体験を繰り返す中、人間は自分の行動や感情が他者にさらされている場合、その是認を受けたいと思う。この結果、「公平な観察者」が形成される。現実の他者とは利害関係があるが、胸中にある「公平な観察者」は偏見を持たない。この観察者の判断をもとに自らの行動や感情を規制するようになる。
 他者の共感を得ようとして、人はおのずと他者の共感にふさわしくありたいと願うようになる。  以下略

 こうした考え方が現代にあっては、個人から社会へのあらたな回路〜共感という回路〜のありかたを示唆しているかもしれないな…と思います。アダム・スミスは遠い昔、経済学部の不出来な学生だったころ、ちょっぴりかじったまま置き去りにしていました。共感の位置づけをもう一度認識したところです。

 明日は、桃の節句、蛤と雛あられでも準備しようかしら。